この美しさをなぞりたい

林 葉月が見た世界、描き記す絵と言葉

森田雄三の演劇ワークショップに参加して

6/30〜7/3の4日間、神戸アートビレッジセンターで開かれていた「森田雄三の演劇ワークショップ」に参加した。

描く、撮る、記すなど、いろいろな表現方法があるけれど、演じる、だけは今までずっと自分がやることとして興味を持ったことがなかった。

春にたまたま2016年三島賞の選考発表をYouTubeで見ていた。
町田康さんのことを面白いなあと思いながら見ていると何度も「蓮實さん、山下さんが今回」と言う。
その山下さん、て誰かな?でも知らないしなー私、小説家。と思いながら聞いていた。
その後に豊崎さんが山下澄人さん、とフルネームで言った時に、あれ?なんか…あれ?…聞いたことある気がする…と思って、調べたら、あ!あの時、100000tのカジさんが主催したトークショーで保坂和志さんと喋ってた、あの山下さんのことだったのか!と思って少し興奮した。そのトークショーのことを、だいぶ前にYouTubeで見ていたのだ。

そしたら、Facebookでカジさんがたまたま「いいね!」を押しましたというのが出てきて山下澄人さんの書いたものだったので、私も読んだ。

この数週間前に私は友人に誘われて、あるドキュメンタリー的な映画のイベントの手伝いをした。上映会、トークショーが終わってからの懇親会に料理のケータリングをした。当然、いつもギリギリな私は上映会にもトークショーにも参加できず、懇親会にのみの参加となった。
そこに集まった車椅子の方とその監督とのやりとり、対話の仕方を見ていて、私はモヤモヤして、少し離れたところで考えていた。監督のそのやりとりは、なんとなく流され、なんとなく違う人が話しかけたりして、なんとなく過ぎていっていた。けれど、私はさっきのモヤモヤが消えない。消えないどころかそのモヤモヤを見つめているうちに、モヤモヤがワナワナに変わり、気づけば奥歯を噛み締めて手はグーになっていた。
そして、監督が歓談しているところをぶった切って「あの!話の流れをぶった切って悪いんですけど、さっきの!あの!やりとり、おかしくないですか?何なんですか?」と啖呵を切っていた。
こうなったらもう止まらない。仕方ない。思っていることを黙ったままにしておけない私が走り始めてしまったら、もうそれは誰にも止められない。
てやんでえべらぼうめ!さっきから聞いてりゃあずいぶんな言いようじゃねえか!え?とは言わなかったけれど、怒るときの心中は江戸っ子みたいな感じになる。
そしてあーだこーだ言ったものの、その監督は最後の最後まで、自分の本音をきちんと見つめて、それを伝えようとすることはしなかった。
何のためのコミュニケーションなんだ!そんな面白おかしくしてやろうと思って人をかき乱すような言葉をわざと言うことをやり合うために私は対話してるんじゃない!人をバカにするんじゃねえやい!と最後まで納得がいかなかったけれど、まあ、そんなことがあった。
ね。手伝いで参加してんのにこれだから困ったもんだよね。でもやっぱり、クソにはクソだと言ってやらねばならない。

それで、この監督とのやり取りが最後まですごく嫌だった気持ちがどこかで吹っ切れないままでいるところで見たのが三島賞の発表で。そこで話している町田康さんが、自分の中の本音をちゃんと見て、それを伝える、状況を自分はどう見て、どう思って、結果はこうだった、ということを伝える。という、まあ考えてみりゃ当たり前のことなんだけど、それをとても清々しく思ったし、小気味よかった。やっぱそうだよね、言葉に向き合っている人たちの言葉は信頼できるなあと思いながら、半ば感動して見ていた。

そこに、その山下さん一致がキタので、興奮して、山下さんのFacebookに、とつとつと書かれている言葉を読んでいたら、涙がポロポロポロポロとこぼれた。
人とその人から出てくる言葉の関係を、見ていた。そのあまりにもの嘘がなさ、媚びなさ、を美しいと思った。
山下さんの発している言葉と、山下さんの関係が、自然で、美しかった。
なので私は一瞬で信頼してしまった。
しばらく、ほへーっとなって(ぷへーではない)、また、どんどん過去のを遡って読んだ。そこに出てきたのが、森田雄三さんという方のやっているワークショップが面白い、という内容で、しかも、私が小学生の頃に母とよく大爆笑しながら見ていたイッセー尾形の演出を長年やってきた人だ、とあったものだから、興味を持たない理由はなかった。

森田雄三さんは、普段は東京の世田谷で「楽ちん堂CAFE」ってのをやっていてそこでも演劇ワークショップは開かれているのだけど、私は京都に住んでいるので参加できないなあ、と思っていたけれど、山下さんが夏に神戸でもやるそうです、とお知らせ頂いていたので、とても楽しみで、絶対に参加するぞ、と思って待っていた。

というわけで、参加してきました。
前置きにしても、異常に長いのでこの辺にしておきます。