この美しさをなぞりたい

林 葉月が見た世界、描き記す絵と言葉

ドアの向こうにみえたもの

ドアの向こうに見えたもの

 

私が参加している「スピリチュアル・プロフェッショナル養成コース(はづき語で言うと:自分の本質につながって自分の本当にやりたかったことを仕事にするための講座。講師:本郷綜海)」が開催され昨晩遅くに帰宅しました。

 

内容に関してはなんと説明したらいいかわからないけれど講座の最後に短い時間で瞑想をすることになりました。

 

この辺は「スピリチュアル」ぽいかな。

 

意識を鎮めながら綜海さんが静かに言葉でリードしていきます。

 

結構、頭の中に言葉や映像が浮かぶので、うーん、集中できていないのかな?と思っていたのだけれど

 

「目の前にドアがあります。そのドアを開けてみましょう」

 

と言われてイメージの中でドアが開くとそこには

 

 

NYの小さなギャラリーで個展をしていて

たくさんの人が詰め掛けてくれているオープニングパーティで

私がみんなに話しをするシーンが見えました。

 

ミュージシャンがやってきてギターで弾き語りをしてくれるのも見えました。

 

それまで私の心の中には

 

「絵を描きたいとか言っても描いてこなかったわけだし、描いて母に認められたいからなんじゃないのか?それはただの承認欲求で私の本当にやりたいことではないのでは?」

 

という疑問があったりして、少し胸の奥がツーンと痛くて、もやもやしていたのです。

 

だけど、このドアを開けた時に見えた風景がNYだってわかった時に一斉に思い出した記憶がありました。

 

それは私が5歳の頃、母は私を連れてアメリカのLANYへ行く旅に出ました。

NYでは母が若い頃に旅の途中のマルタ島で出会い仲良くなった「オレスタさん」という女性の画家に会いに行きました。

 

1981年のことです。

 

オレスタさんと無事再会しとても素敵な湖畔の白くて広い家に泊めてもらい

私はハンモックに揺られ、湖で遊び、とても大きな野生のアフリカの動物の絵が製作中で

それらはとても美しく、居心地のよいスタジオでオレスタさんは常に私たちをリラックスさせてくれました。

そんなある日のこと、NYの街の中へ出かけよう、母が知り合い仲良くなったアート・ブレーキーというドラマーが出演するWHAT’S TUESDAYというジャズバーに出かけようということになりました。

 

その前に、母はデパートに行きたいということでデパートまで行くとオレスタさんが

 

「あなたは子供とずっと一緒でしょ?私が一緒にいて見ていてあげるからあなたは一人の時間を持ちなさい。楽しんでいってらっしゃい。」

 

と言って母に一人の時間をプレゼントしました。

 

 

残された私は、もちろんオレスタさんがなんて言っているかなんてわかりません。

 

 

オレスタさんはデパート付近の石畳のあたりにある植え込みか何かのひんやりとした石の台の上に紙を出しペンを私に渡し、紙の上に手を置いて私になぞるように促しました。

 

私は、なぞって、オレスタさんが手を移動させるので私がまたそれをなぞりました。

 

そうして「かに」や「ハト」を紙の上に描いたり

今度は交代して私の手をオレスタさんがなぞったりして何枚か絵を二人で完成させました。

 

ハッと気づくと私たちを囲むようにして人だかりが出来ていました。

 

オレスタさんは、みんなに私たちの描いた絵を見せて何か話すと

 

大勢の観客が、拍手をして盛り上がりました。

 

オレスタさんはそこにいた人たちと話して握手をしていました。

 

そうしていると母が戻ってきたのでオレスタさんは私との時間を母に説明し、母はとても嬉しそうに良かったねと言って私の頭を撫でました。

 

オレスタさんはさっきみんなになんて言ってたの?と聞くと

「この子は私の友達の子で私達は言葉が通じない。だけどこうして絵を描くことで私達は話をすることができるのよ」

ってみんなに言ったんだって、と言いました。

 

そして三人で近くの小さな喫茶店に入ってお茶を飲んでいると

近くにいた黒人の男の人がテーブルにやってきて笑顔でペンを二本くらい差し出して何か言いました。

母に聞くと

 

「さっきあなた達を見ていた。とても素晴らしかったよ!ありがとう!」

 

と言ってこの子にペンをあげようねってくれたのよ、と言いました。

 

 

私は、そのことをよく覚えてはいましたが、最近はすっかり忘れていました。

 

 

 

瞑想で見た「ドアの向こう」の風景がこの記憶を運んできてくれました。

 

 

 

私は近い将来、NYの小さなギャラリーで個展を開き、集まった人たちの前でこの時のことを話すでしょう。

 

 

 

そして可能なら、オレスタさんの消息を調べたい。

 

以前に一度NYへ行った時は探せなくて心残りだったから。

 

母が言うには癌になったんじゃないかという話もあったそうだけど、何か手がかりが見つかるかもしれないから。

 

そして、もう一度、オレスタさんがアトリエとして借りていた湖畔の白くて天井の高いあの家を訪ねてみたい。

そう思いながら私の目には涙が溢れていました。

 

 

 

瞑想が終わると

 

 

胸の奥にあった痛みは溶け、絵を描く時の喜びや楽しさが私の中に息吹を吹き返していました。

 

 

 

オレスタさんと共に絵を描いて遊んだあの時間が、私が絵を描くことの楽しさの原体験となって自分の核にあることを確信しました。

 

 

 

もう迷わないで、いいんだ。

 

 

 

そう思うとまた熱い涙がこみ上げてきました。

 

 

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